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 このブログをお読みいただいている方の中には,現在,ご両親の介護をされている方も多くいらっしゃることと思います。そのような方々にとって,相続の問題は,決して遠い将来の問題ではないはずです。

 ​当然,ご両親の介護には,介護費用の負担がつきものです。ご両親に預貯金がある場合,ここから介護費用を支出するということはとても自然なことですし,介護はご両親のために行っていることですので,その大変さは他の相続人らにもわかってほしいところです。
​ しかし,ご両親のためにやったことが,その死後,相続トラブルのきっかけとなってしまう残念なケースがあります。

 ​​​例えば,ご両親に頼まれて,介護に関わる高額な物を継続的に購入したとします。その場合,ご両親の預金口座から現金を引き出して購入資金に充てたとしても,それはご本人の意思に基づいて,ご本人のために,ご本人の財産を使っているだけですので,法的に何の問題にもなりません。
 
 ​​ところが,それら使途が通帳に記録されるかというと,されませんよね。そうすると,特に疎遠で,介護の詳細も知らないような他の相続人にとっては,その通帳の記録は,親の預金口座から,ただひたすら使途の不明な金銭が引き出されているだけの履歴に見えてしまうかもしれません。

 ​​このような場合,本来あるはずのご両親の遺産が減っていることを理由に,他の相続人から,不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求をされることがあり得ます。その時,使途を証明するものが何もなければ,引き出したお金について自分が使ったわけでもないのにこれを返さなければならず,なぜ介護した私が・・・ということになってしまう可能性があるのです。

 ​​もちろん,このような場合は弁護士にご相談いただければ,真実を証明するために,できる限り協力させていただきます。しかし,ご家族の不要なトラブルを避けるためにも,現在介護されている皆様は,お金の使い道がご両親の意思に基づくことやその使途の詳細について,記録を取られたり,領収書を保存されたりして,将来に備えていただくことが大切なのです。

 ​​介護の大変さを一番よく知っているのは,介護されているご本人自身だと思います。もし,将来こんな紛争になってしまうのではないか,と心配されているのであれば,紛争になっていない今のうちに,一度弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。

四日市事務所弁護士 西村 綾菜

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