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相続ブログ

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  • 4月
  • 1
  • Wed
2020年

遺留分の放棄?

  よく,相談者の方から「相続の放棄を生前にできないか。」とご相談を受けることがあります。

 しかし,結論からいうと,被相続人の生前に相続放棄を行うことはできません。

 

 これとは対照的に,被相続人の生前に,放棄を行うことができるのが,遺留分の放棄というものです(民法1049条)。

 ここで,遺留分とは遺留分侵害額請求権といいます(民法改正がなされる前は遺留分減殺請求権といわれていました)。

 遺留分の放棄を行う場面がどのような場面かを説明すると,例えば母親Xと,二人の娘A・Bがいたとします。そして,XがBに全ての遺産を相続させる遺言を作成した場合,Xが亡くなった後,遺留分を侵害されたAは遺留分侵害額請求権を行使することができます。

 遺留分の放棄は,上記の請求権を放棄するものであり,遺言が作成される場合に同時に行われることが多いです。

 

 被相続人である母親Xからすれば,自分の死後に相続人たちがトラブルになってほしくないと考えることが多いものです。

 そのために,遺言特に公正証書遺言を作成することを弁護士はおすすめしておりますが,遺言だけだと,遺留分減額請求権の行使により紛争となる可能性があります。

 このため,相続人同士のトラブルをなくすためにも,遺留分の放棄まで行うことが考えられます。

 

 ただし,遺留分の放棄は,相続人の方からすれば非常に重要な行為ですので,家庭裁判所の許可を受けることを必要としています。

 それ以外にもメリット・デメリットが多数あるので,遺留分減殺請求権を含めた相続トラブルを避けたい方がいらっしゃいましたら,一度遺留分の放棄を含めてご相談いただければと思います。                                               以上

岡崎事務所 弁護士 安井孝侑記

  • 2月
  • 3
  • Mon
2020年

「特別寄与料」

1 はじめに

 2018年(平成30年),相続に関するルールに大きな変更がありました(相続法改正)。

 相続法改正については,このブログでも,これまでに何回か取り上げてきました。

 相続法改正の中には,まだ施行されていないものもあり,例えば,以前のブログで紹介させていただいた「配偶者居住権」の制度については,間もなく2020年(令和2年)4月に施行されることとなっています。

 これに対し,今回お知らせする「特別寄与料」の制度は,2019年(令和元年)7月から既に施行されている制度ですが,実務に与える影響の大きい制度です。

 

2 「特別寄与料」ってどんな制度?

 「特別寄与料」というのは,亡くなった人について,相続人ではない親族が,無償で,例えば介護をしてあげるというような労務の提供をしてあげて,それによって,亡くなった人の財産が増えたり,減らずに済んだというときに,その親族が,相続人に対して,財産の増加または減少防止への寄与に応じた金銭の支払いを請求できる,という制度です。

 

3 2019年(令和元年)6月以前のルールとその限界

 なぜ,このような制度ができたのでしょうか。

 これまでの制度にはどのような問題があったのでしょうか。

 そのことを理解するために,次のような相談事例を考えてみたいと思います。

 

【相談事例】

 私は,Ⅹの妻でした。

 Xは10年前に55歳の若さで亡くなってしまいました。

 私は,夫Xをとても愛していましたが,残念ながら,Xとの間に子供に恵まれませんでした。

 Xの父は,私たちが結婚して5年後に亡くなっており,私とXは,ⅩがXの母Zを一人にしたくないと言ったこともあり,3人で同居して暮らしていました。

 Xがなくなった時も,既に83歳の高齢者であるZが,一人暮らしになってしまうのはかわいそうだと思い,私は,Zと2人で暮らしてきました。

 Zは,Xが亡くなったことでショックが大きかったのか,Xが亡くなった1年後には脳梗塞を発症してしまい,介護が必要な状態になってしまいました。

 私は,勤めていた仕事も辞めて,時間の融通の利く仕事に転職して,Zを介護して生活していました。

 Zはその後9年生き,昨年,92歳で亡くなりました。

 Zの相続人は,Xの弟のY1人だけです。

 Yは,遠方に住んでいて,YもYの奥さんも,全くZの世話をしたこともありません。

 それなのに,Yは,Zの相続人は自分だけだとして,すべての財産を手放して,私が,Zと一緒に住んでいた家を出ていくよう,私に求めています。

 こんなことはあんまりだと思うのですが,どうにかならないのでしょうか。

 

 この気の毒な事例について,今までのルールでは手の打ちようがなかったのです。

 

 すなわち,今までのルールでは,相続人が,労務を提供するなどして,亡くなった人の財産を増加させたり,減少しないようにしたというような場合には,「寄与分」という制度により,その「相続人」が,その分通常の法定相続分よりも余分に相続することが認められていました。

 つまり,「相続人」が労務の提供等をすることが要件となっていたわけです。

 もっとも,今までのルールの中でも,本件のXのような相続人が存命である場合には,裁判例は,本件の相談者のような立場の人をXの履行補助者として寄与分の成立を認めて衡平を図っていました。

 しかし,本件のような「相続人」不在のケースでは,いかんともすることができなかったのです。

 

4 「特別寄与料」制度

 これに対して,新しい制度の下では,相続人でない親族が保護されることとなったのです。

 新しいルールの下では,相談者は,Zに対して特別寄与料を請求することが可能になります。

 このように,「特別寄与料」の制度は,とても意義のある制度です。

 ただ,本件では,Zが脳梗塞になってしまったために,難しかった可能性もありますが,本来は,本件のような事案では,遺言書を作成しておくとよかったということもあります。

 相続の問題には,いろいろと難しい問題が含まれていることもありますので,相続事例でお悩みの場合には,ぜひ弁護士にご相談ください。

 名古屋丸の内本部事務所 弁護士 檀浦康仁  

 

前提として、遺産分割協議は、相続人全員の同意が必要になります。

そのため、相続人の一人でも行方不明の場合は、遺産分割協議を進められなくなります。例えば、相続人の一人が捜索願を出されているような場合です。

では、何らの手立ても講じられないかというと、そうでもありません。

法律は、そのような場合(相続人の一部に行方不明者がいる場合)にも遺産分割協議ができるように、不在者財産管理人の選任制度を設けています。

この制度は、行方不明になった相続人に代わって不在者財産管理人が遺産分割協議をすることを可能にする制度です。

具体的には、他の(行方不明者以外の)相続人が、家庭裁判所に対して、不在者財産管理人選任申立書を送付し、裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうことになります。管理人が選任された後は、その管理人と他の相続人との間で遺産分割協議をすることになります。

このような手続を利用することで、滞りなく遺産分割協議を行えるのです。

その他、不在者の生死が7年以上明らかでないときには、失踪宣告制度の活用も考えられます。

以上のような制度が用意されておりますので、相続人の一人に行方不明者などがいる場合にも遺産分割協議をあきらめる必要はありません。不在者財産管理人の選任請求の方法や、失踪宣告の請求方法について悩みの方は、是非ともご相談ください。

一緒に問題を解決していきましょう。

名古屋藤が丘本部事務所 弁護士 横田秀俊

  • 9月
  • 6
  • Fri
2019年

相続放棄と遺産管理

 最近,相続放棄をされる方から,遺産(特に不動産や自動車)の管理についてどうすべきか相談を受けることが多いです。

 

 改めて,法律を読んでみると,民法940条に「相続放棄をした者は,次の相続人が管理するまで,自己の財産と同一の注意をもって管理しなければならない」との趣旨の条文があります。

 これによると,第一順位相続人(子)は,相続放棄をしても次順位相続人(直系尊属。ただし被相続人の親は亡くなられていることが多いため,被相続人のごきょうだい(又は代襲相続人)となることが多いでしょう)が遺産の管理を始めるまで,(注意義務の程度としては低いものの)一応の管理はする必要はあることになりそうです。

 

 ただ実際には,第一順位の相続人が相続放棄する場合には,次順位相続人も相続放棄をすることが多く,その場合には,最終的には,順次相続放棄によって「相続人が不存在」となります。

 前述の条文をみると,「次の相続人が管理するまで,・・管理しなければならない」とあるため,相続人が不存在となった場合に,この条文がどう解釈されるのか問題となります。

 

 相続人が不存在となった場合,法律上は,遺産の管理・処分を行う相続財産管理人の選任ができることになるため,「相続財産管理人選任をすれば良い」ということになりそうな気もしますが,実務上,管理人の選任には,選任申立ての時点で数十万円の予納金が必要とされることが多いため,現実にはなかなか難しいところがあります。

 

 特に最近は,被相続人の遺産に不動産があっても,老朽化した建物の解体費用を考えれば,ほぼ無価値であり,売却もできない可能性が高いという事案が多くなっています。

 民法が制定されたころには,土地も建物も高価な資産であったため,現在のこのような状況はおそらく想定されていなかったのかと思います。

 

 「遺産はあるが,価値がない」事案の相続財産管理人選任にかかる予納金(要するに管理人の報酬)に関する制度整備がなされないと,これから更に大きく深刻な問題になっていくものと考えています。

   

   津島事務所 弁護士 加藤耕輔

 自宅敷地として使用してきた土地について,自己(又はその先代の)名義だと思っていたが,実はその土地の全部又は一部が他人名義であったことが発覚した,といった相談を受けることがあります。

 こういったケースで,自宅敷地として使用してきた期間が相当長期間に及ぶのであれば,当該土地の名義人を被告として,時効取得を原因とする所有権移転登記請求を行うことが考えられます。

 そして,当該土地の名義人が既に亡くなっている場合には,その相続人を調査し,相続人全員を被告とすることが原則となります。

 もっとも,こういったケースでは,当該土地の名義人がかなり以前に亡くなっていることも少なくなく,戸籍等の相続人を調査するための資料が保管期間の経過等により取得できず,相続人が調査できないことがあります。

 このように,相続人調査ができない場合には,当該土地の名義人の相続財産を被告として,時効取得を原因とする所有権移転登記請求を行うことが考えられます。

 民法上,相続人の存否が明らかでない相続財産については,法人として扱われますので(民法951条),これを相手取って裁判を起こすという構成です。

 この場合,そのままでは被告とされた相続財産のために現実に裁判を対応する者がいませんので,裁判所に対し,特別代理人(本来の代理人が代理権を行使できない場合等に,本来の代理人が行う職務を行う特別の代理人です。)の選任を申し立てることが必要となります。

 この際,裁判所からは予納金の納付を求められ,名古屋地裁では10万円程度が目安となると思われます。

 ややイレギュラーな対応ですが,上記の対応により,当該土地の所有権移転登記が実現した例がありますので,類似の問題を抱えている方がおみえでしたら,一度弁護士に相談されてはいかがでしょうか。

 

  春日井事務所  弁護士 深尾 至

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