名古屋で相続・成年後見などに関する弁護士への無料相談は愛知総合法律事務所へ

相続ブログ

過去の記事

  • 2月
  • 23
  • Fri
2018年

相続放棄の留意事項

 相続と言うと、お亡くなりになった方の預貯金や不動産といったプラスの財産(資産)の承継がイメージされますが、借金のようなマイナスの財産(負債)についても同様に承継されます。

 この記事では、お亡くなりになった方が、多額の負債をかかえていた場合の相続について、コメントしたいと思います。

 たとえば、お父様が多額の負債をかかえてお亡くなりになった場合、子であるあなたは、何らの手続をとらないと、お父様の負債を承継することとなります。そのため、お父様の債権者は、子であるあなたに対し支払いの請求をすることができ、あなたはこれを拒めないこととなります。このような事態を防ぐためには、「相続放棄」の手続をとることが考えられます(民法915条)。

 相続放棄の手続をとれば、最初から相続人にはならなかったものとみなされ、多額の負債を承継することもなくなります。

 お父様とあなたは別の人格ですので、お父様の負債を必ずしも承継する必要はないのです。

 もっとも、相続放棄の手続をするためには、いくつかの留意事項があります。

 1つは、過去のブログ記事にもあるように、お父様がお亡くなりになったことを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。申述できる家庭裁判所は、家庭裁判所ならどこでもよいというわけではなく、お父様の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。

 また、3ヶ月以内であれば、必ず相続放棄ができるかと言えば、そうとも限りません。たとえば、お父様には隠してあった預金があり、これをあなたが口座凍結前に引き出して費消してしまった場合には、相続を承認したものとみなされ(民法921条)、相続放棄できなくなる可能性があります。

 その他、留意しておくこととしては、あなたが相続放棄することによって、他の親族が相続人になる可能性があるということです。

 たとえば、あなたに兄弟がおらず、お父様の唯一の子であった場合、あなたが相続放棄をすると、まずはお父様方のお祖父様やお祖母様が、相続人となります。お祖父様やお祖母様がすでにお亡くなりの場合には、お父様方の叔父様や叔母様が、相続人となります。自分が相続放棄することで、他の親族が相続人になる場合には、その旨を連絡し、場合によっては、他の親族にも相続放棄手続の案内をすることが親切といえるでしょう。

 相続放棄の手続は、複雑なものではございませんが、手続をあやまると予期せぬ事態を招いてしまうことがあるので、ご心配等ございましたら、弊所にご相談いただければと思います。

                          名古屋丸の内本部事務所 弁護士 柿 本 悠 貴

  • 12月
  • 22
  • Fri
2017年

離縁手続の進め方

1 高齢化社会,そして少子化社会に伴い,養子縁組の活用が増えています。非課税枠を増やすという副次的な目的を有する養子縁組も多く見られます。

2  しかし,一度養子縁組をしたら,簡単には解消できない,ということも知っておくべきです。離婚に比べて数は多くはありませんが,「離縁をしたい」,あるいは「離縁を求められた」という相談も受けることがあります。

3 離縁については,民法811条から記載があります。養子縁組をした当事者は,その協議によって離縁をすることができます。協議離婚と同じように,当事者の協議が整えば,離縁をすることができるのです。

4  しかし,一方が離縁を望み,一方が離縁を拒んだ場合は,どのように手続が進むのでしょうか。

5  このような場合,家庭裁判所に調停を申し立て,調停の場で互いに協議することになります。そして調停もまとまらなければ,離縁訴訟を提起することになります。

6  名古屋家庭裁判所では日々多数の離婚調停,遺産分割調停が申し立てられておりますが,離縁調停は決して件数は多くはありません。事例の蓄積も離婚や遺産分割ほどは多くはなく,どのような場合に離縁ができるのかは明確な基準はありません。

7 民法814条は,縁組を継続し難い重大な事由がある場合に離縁できると定めています。裁判例上は「養親子としての精神的・経済的な生活共同体の維持もしくはその回復が著しく困難な程度に破綻したとみられる事由がある場合」とされており,客観的な破綻状態と縁組の目的などの縁組成立時の事情を相関的に勘案して判断すべきとされています。

8  例えば成年になってから養子となる場合は,家業を継ぐ,相続をする,扶養をする,などの目的があるのが通常です。この場合,当初の目的が達成できなくなったか否かが重要になります。

9  また,暴行や虐待があるケースや,金銭や不動産を巡り訴訟等になった場合なども,破綻が認定されやすい事由です。

10  単なる性格の不一致で離縁が認められるかは事案によります。対立,葛藤が継続し,養親子関係が完全に冷却状態になっている必要があるとされます。例えば何十年も前に養子として迎え入れ,自らが年を取り相続対策のために離縁を求めることもありますが,このような場合は,簡単に離縁が認められるとは限りません。

11  離縁に関しては,裁判例の集積が乏しく,見通しを立てるのが難しい分野です。また数少ない裁判例を分析すると,調停時や交渉時の発言も結論を決める一要素としているように思われる案件も散見されます。感情の機微に触れる部分でもありますので,有利・不利で決めることでもないのかもしれませんが,やはり離縁を求める際,あるいは求められた際は,今後どのように手続が進んで行くのか,どのような対応を取るべきなのか,一度は弁護士に相談をしてから,手続を進めた方がよいでしょう。
                             日進赤池事務所 弁護士 森 田 祥 玄 

 

祭祀承継者という言葉をご存じでしょうか。読んで文字のごとくですが,先祖の祭祀を主催することを承継する人のことです。
 民法では,897条に1条の条文で記載されています。

 1項 系譜、祭具、墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
 2項 前項本文の場合において、慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は家庭裁判所が定める。

 1項にいうところの「前条の規定」とは,相続の一般的効力の規定であるため、祭祀承継は相続の手続によらないことが規定されています。そのため,祭祀承継は,相続とは別個の手続をもって決めることになります。
 相続とは別個の手続であるため,被相続人の遺産について相続放棄をした者でも,祭祀承継者になることができます。

 

 では,具体的に条文の内容を見てみましょう。

 祭祀承継の対象となるのは,「系譜」,「祭具」,「墳墓」の3つです。
 「系譜」とは,先祖伝来の家系を表示したものです。一般的に,記載される人物の出生から死亡までの略歴が記載されています。
 「祭具」とは,祖先の祭祀や礼拝に使用するもので,仏壇・神棚・位牌などをいいます。
 「墳墓」とは,簡単にいうと「墓」のことです。典型的には墓石などの墓標を指しますが,墓地の所有権や使用権も含まれると考えられています。
 これらの物は,相続とは関係がなく,祭祀承継者が承継することになります。

 祭祀承継者は,慣習によって決まります。ただし,被相続人が祭祀承継者を指定していた場合には,指定された者が祭祀承継者となります。この点は,相続における遺言に類似しています。
 慣習とは何かについてよく問題になりますが,慣習について法律上の決まりはありません。イメージとしては,長男承継,男性承継というイメージが思いつきやすいかもしれませんが,差別的意味合いを含むことから慣習とは認められないものと思われます。
 現実的には,相続人間の話合いによることになるでしょうが,祭祀承継者が決まらない場合には家庭裁判所が決めることになります。
 裁判所は,「祭祀財産の承継者を指定するにあたっては,承継者と被相続人との身分関係のほか,過去の生活関係及び生活感情の緊密度,承継者の祭祀主宰の意思や能力,利害関係人の意見等諸般の事情を総合して判断する」ようです(大阪高等裁判所昭和59年10月15日決定)。

 祭祀承継者の指定で紛争になる場合,祭祀承継者は1人しか認められないという点がネックになり,紛争が激化・長期化しがちになります。分割するという選択肢がないため,遺産分割よりも解決のための選択肢が必然的に少ないことになります。
 さらに,家族同士での争いであるため,精神的な疲労度も高くなります。
 
 祭祀承継者の指定を未然に防ぐ手段は,被相続人が生前に祭祀承継者を指定しておくことです。遺言を生前に準備することは多いかと思います。遺言を準備する際にあわせて祭祀承継者を指定しておくことが望ましいと思われます。

 

                                    春日井事務所 弁護士 森下 達

相続が生じた場合、原則としては相続人全員で話し合いを行い、相続財産をどのようにするか検討する必要があります。

しかし、相続人のうち話し合い自体に応じてくれない人がいる場合には相続の手続きを進めることができなくなってしまう場合があります。例えば、相続財産として土地があり、その土地の上に長男が家を建てて住んでいた場合、長男はこの土地を自分の名義にして自分の子供に継がせていきたいと考えることが多いです。このとき、話し合い自体に応じてくれない人がいると、遺産分割協議書を作成することができず、長男は土地を取得することができなくなってしまいます。

しかし、調停・審判手続きを使えば、この問題を解決することができます。

まず、調停の申し立てを行い、話し合いに応じてくれない相続人に裁判所に来るように促します。中には、裁判所が関与すれば話し合いに応じてくれる相続人もいます。そして、応じてくれないとしても、審判手続きに移行し、裁判所に相続財産の分け方を決めてもらうことができます。このとき、長男の立場としては、自分が土地上に住んでいるため、土地を自分のものにしてほしいと主張することができます。そうすれば、土地を長男のものにするという審判が出る可能性が高いです。ただし、代償金としてお金を支払う必要はあります。

次に、代償金の受け取りすら拒否をする相続人も中にはいます。この場合は、供託という手続きを行い、そこにお金を預けることにより手続きを進めることができます。

これらの手続きを経ることにより、遺産分割に応じない相続人がいたとしても、適切に分割を行うことができます。

ただし、それぞれの手続は手間がかかるものであるため、弁護士の利用もご検討いただければと思います。

小牧事務所 弁護士 遠藤 悠介

  • 8月
  • 1
  • Tue
2017年

遺産分割調停について

 津島事務所で執務しております、弁護士の加藤耕輔と申します。津島では、去る7月22日、23日に尾張津島天王祭の宵祭、朝祭が開催されました。毎年、この祭が終わると夏本番、という感じがします。今年は、ユネスコの無形文化遺産登録を記念し、盛大な花火も打ち上げられました。

 遺産つながり、というわけではありませんが、今回は、遺産分割調停について説明いたします。

 

1 亡くなられた方の遺産を分割することを「遺産分割協議」といいます。

 遺産分割協議は,相続人全員でしなければならないという条件はありますが,特段,裁判所でしなければならないことはなく,法事などで相続人全員が集まったときや,相互に電話などを用いて行うことも方法として全く問題ありません。

 

2 一方,裁判所で遺産分割協議を行う手続として,遺産分割「調停」という手続があります。

 ただ,「調停」は裁判所で行う「話合い」の手続きであり,場所を裁判所に移して,上で述べた相続人による遺産分割協議を行うだけのことです。

 どうして,このような「調停」制度が存在するのでしょうか。

 調停のメリットは,一般的には,以下のとおり整理されます。

 

3 調停のメリット

⑴ 調停では,裁判所から委託を受けた2名の調停員が当事者間に入ります。当事者は,調停委員を通じて,それぞれの意見を述べ合うことになります。

 第三者を挟むことで,譲歩できる幅などについて率直な意見交換をすることができるため,当事者同士面と向かって協議する場合より話合いがまとまる可能性が高くなります。

⑵ また,裁判所で調停を行ったがそれでもまとまらないときには,そのまま裁判所が強制的に遺産の分け方を決める「審判」手続に移行することができるため,審判に移行した場合に予想される結論から話合いがまとまるということもよくあります。

⑶ さらに調停では,当事者ごとに待合室がありますので,大勢いる対立相続人を一同に集めるという場としても適当です。

 

 上記メリットからすれば,「相続紛争はとりあえず調停を申立てすれば良い」ということになりそうですが,そういうわけにもいきません。

 調停には,下記のデメリットがあります。

 

4 調停のデメリット

⑴ 調停は,相手方住所地を管轄する裁判所で行わなければなりません。

 したがって,名古屋市在住だが,対立する他の相続人が大垣市にいる場合には,大垣市を管轄する裁判所に調停を申立てしなければならなくなります(家事事件手続法の施行により,電話会議もできるようになりましたので,現在は,このデメリットは多少緩和されているともいえます。また,本件とは関係ないですが,「審判」については,相続人死亡地を管轄する裁判所でも申立てが可能です。)。

⑵ 調停の最大のデメリットは,進行が遅いことです。

 各期日(裁判所に集まる日)は1回2時間程度ですが,早くて月1回のペースでしか期日が入らないため,話合いが難航する場合には,それなりの期間を覚悟しなければなりません。

 また,現在,名古屋家庭裁判所では,調停申立て後,第1回期日が指定される(期日の開催ではなく,指定)までにかなりの期間がかかっています。

 改善が待たれるところではありますが,そうした現状の存在は把握しておくべきといえます。

 

5 遺産分割では,自身の意向・それぞれの手続のメリット・デメリットを考慮のうえ,適切な手続選択をしていくことが大切です。

 もっとも,たとえば2つめのデメリットとして挙げた「調停申立て後,期日が入るのに2ヶ月近い期間がかかることも多々ある」との現状は,実務を行っている弁護士でなければ知りえない事情です。

 「とりあえず調停申立てを案内されたが,これほど時間がかかるのであれば少し譲歩して終わった方が良かった」などと後から思うことのないよう,一度,弁護士へ相談してみることをお勧めいたします。

津島事務所 弁護士 加藤 耕輔

相続法律相談