名古屋で相続・成年後見などに関する弁護士への無料相談は愛知総合法律事務所へ

相続ブログ

過去の記事

  • 8月
  • 1
  • Tue
2017年

遺産分割調停について

 津島事務所で執務しております、弁護士の加藤耕輔と申します。津島では、去る7月22日、23日に尾張津島天王祭の宵祭、朝祭が開催されました。毎年、この祭が終わると夏本番、という感じがします。今年は、ユネスコの無形文化遺産登録を記念し、盛大な花火も打ち上げられました。

 遺産つながり、というわけではありませんが、今回は、遺産分割調停について説明いたします。

 

1 亡くなられた方の遺産を分割することを「遺産分割協議」といいます。

 遺産分割協議は,相続人全員でしなければならないという条件はありますが,特段,裁判所でしなければならないことはなく,法事などで相続人全員が集まったときや,相互に電話などを用いて行うことも方法として全く問題ありません。

 

2 一方,裁判所で遺産分割協議を行う手続として,遺産分割「調停」という手続があります。

 ただ,「調停」は裁判所で行う「話合い」の手続きであり,場所を裁判所に移して,上で述べた相続人による遺産分割協議を行うだけのことです。

 どうして,このような「調停」制度が存在するのでしょうか。

 調停のメリットは,一般的には,以下のとおり整理されます。

 

3 調停のメリット

⑴ 調停では,裁判所から委託を受けた2名の調停員が当事者間に入ります。当事者は,調停委員を通じて,それぞれの意見を述べ合うことになります。

 第三者を挟むことで,譲歩できる幅などについて率直な意見交換をすることができるため,当事者同士面と向かって協議する場合より話合いがまとまる可能性が高くなります。

⑵ また,裁判所で調停を行ったがそれでもまとまらないときには,そのまま裁判所が強制的に遺産の分け方を決める「審判」手続に移行することができるため,審判に移行した場合に予想される結論から話合いがまとまるということもよくあります。

⑶ さらに調停では,当事者ごとに待合室がありますので,大勢いる対立相続人を一同に集めるという場としても適当です。

 

 上記メリットからすれば,「相続紛争はとりあえず調停を申立てすれば良い」ということになりそうですが,そういうわけにもいきません。

 調停には,下記のデメリットがあります。

 

4 調停のデメリット

⑴ 調停は,相手方住所地を管轄する裁判所で行わなければなりません。

 したがって,名古屋市在住だが,対立する他の相続人が大垣市にいる場合には,大垣市を管轄する裁判所に調停を申立てしなければならなくなります(家事事件手続法の施行により,電話会議もできるようになりましたので,現在は,このデメリットは多少緩和されているともいえます。また,本件とは関係ないですが,「審判」については,相続人死亡地を管轄する裁判所でも申立てが可能です。)。

⑵ 調停の最大のデメリットは,進行が遅いことです。

 各期日(裁判所に集まる日)は1回2時間程度ですが,早くて月1回のペースでしか期日が入らないため,話合いが難航する場合には,それなりの期間を覚悟しなければなりません。

 また,現在,名古屋家庭裁判所では,調停申立て後,第1回期日が指定される(期日の開催ではなく,指定)までにかなりの期間がかかっています。

 改善が待たれるところではありますが,そうした現状の存在は把握しておくべきといえます。

 

5 遺産分割では,自身の意向・それぞれの手続のメリット・デメリットを考慮のうえ,適切な手続選択をしていくことが大切です。

 もっとも,たとえば2つめのデメリットとして挙げた「調停申立て後,期日が入るのに2ヶ月近い期間がかかることも多々ある」との現状は,実務を行っている弁護士でなければ知りえない事情です。

 「とりあえず調停申立てを案内されたが,これほど時間がかかるのであれば少し譲歩して終わった方が良かった」などと後から思うことのないよう,一度,弁護士へ相談してみることをお勧めいたします。

津島事務所 弁護士 加藤 耕輔

相続法律相談